鏡の中のアクトレスにみたクリエイティビティ

その他

ここのところ、アニメのきまぐれオレンジロードをみていた。春風にふわふわと飛ばされていく赤い麦わら帽子(イメージ画像は赤じゃないけど)。懐かしい。
原作は週刊少年ジャンプに連載されていたが、バトル漫画ときどきギャク漫画のジャンプ黄金期において、ひときわ異彩を放っていた。

秀逸なオープニング

恭介、まどか、ひかるの3角関係を描いたラブコメ。とにかくまどかの魅力が強烈で、作品も楽しいのだけど、このアニメのオープニングとエンディングが色々手が込んでいることをしていて興味深かかった。全48話中でオープニング、エンディングがそれぞれ3種類使われている。どれも興味深いが、中でも印象的で記憶に残っていたのが最後のオープニング。

思わずあっと言わせる仕掛け

ジンゴロ(恭介の飼い猫)がどこかを走っているところからはじまる。走っている場所はピンク色で等間隔にラインがある。ジャンプする。背景と重なり時間が止まる。

走っているジンゴロを写しているカメラがひく。背景だったのはピンクの縦縞のセーター、ジンゴロはその上にある飾り。

さらにカメラが引く。セーターを着たまどかと恭介が遊園地のコーヒーカップに乗っている。少しずつカメラがズームアウト。手前のコーヒーカップには恭介の双子の妹まなみとくるみが、その手前には誰も乗っていないコーヒーカップ。空のコーヒーカップに手をかける指が映る。どんどんズームアウトしていく。コーヒーカップを手にしたひかる。カメラは動きつづける、窓越しのひかる、建物が映る。ひかるがいたのはアバカブ(作中で恭介たちがバイトしている喫茶店)だった。

シーンはどんどんすすみ・・・

最後は再び疾走するジンゴロへ、そしてジンゴロがジャンプし、輝きとともにタイトルが映し出される。

これをワンカットで表現している。最初のオープニングが大量のカットを詰め込んでいるのと正反対になっているのもきっと計算してのことなんだろう。

さらにループ構造は作品のストーリーともリンクしている。

30年前の記憶

お世辞にも記憶力いいとはいえないほうなのに、もう30年くらい前にもかかわらず覚えていた。
こんなふうにあっといわせてくれる作品が他にもどこかにないだろうか。

鏡の中のアクトレス以外の、オープニングとエンディングも素晴らしい。
専門じゃないので詳しくはわからないけど、むしろ技法的には他の方が凝っていると思うので、見る機会がある人、特に若い方でクリエイティブを仕事にしている人は見ると感じるものがあるんじゃないかと。
(また、どこかで配信してくれないだろうか…)

あと、アニメーションだけじゃなくて、エンディングの和田加奈子さんの色気があるのに厭らしさがない美声も必聴。


きまぐれオレンジ★ロードBlu-ray BOX(9枚組)

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