トリックと脳のクセ

読書

思い込みって怖いですね。

イニシエーションラブという小説をご存知でしょうか。
割と古い作品です。
映画化もされています。


イニシエーション・ラブ (文春文庫)

よくある普通の恋愛小説だと思って読むと驚愕のトリックが待ち受けています。
このトリックがすごすぎて最後まで読んでも気づかない人もいます。

イニシエーションラブが利用しているトリックは、繋がっているという思い込みです。

私たちはこれまで様々な物語を見てきました。
小説だったり、映画だったり、舞台だったり。

物語は時間と共に展開していきます。
過去から現在、現在から未来へと繋がっています。
いま100ページ目を読んでいるとすると、99ページは100ページの一つ前の過去、101ページは100ページの一つ後の未来です。

イニシエーションラブは、一繋がりなっている普通の小説の形をとっているように見せておいて、実は繋がっていません。

物語は繋がって一本の時間軸の中で話が展開されていくという思い込みがある限り、このトリックは見破れません。

見破れるとしたら脳のクセを知っている人だけです。

脳は経験回数が多ければ多いことほど、正しい事象であると認識します。
また、脳は矛盾を嫌います。

イニシエーションラブを読み進めると、違和感を感じるはずです。
しかし、違和感を認めることは、自分の中で正しいことが確定している決定事項(思い込み)を否定することになるので、脳はそうしません。
より過去に経験した回数が多い方に合わせる形で、行間を都合の良いように埋めて、矛盾を解消しようとします。
結果、トリックに気づかないのです。

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

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